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大阪地方裁判所 平成7年(ワ)1090号 判決 1997年10月30日

大阪市北区東天満一丁目一二番一〇号

原告

シーマン株式会社

右代表者代表取締役

菅原冨夫

右訴訟代理人弁護士

村林隆一

今中利昭

吉村洋

浦田和栄

松本司

岩坪哲

田辺保雄

東京都港区芝公園二丁目四番一号

被告

ゼオンメディカル株式会社

右代表者代表取締役

河原貫

東京都千代田区丸の内二丁目六番一号

被告

日本ゼオン株式会社

右代表者代表取締役

中野克彦

右両名訴訟代理人弁護士

小池恒明

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

一  被告日本ゼオン株式会社(以下「被告日本ゼオン」という)は、別紙(一)説明書(図面(1)ないし(3))記載の容器入りシリンジ(以下、合わせて「被告製品」という)を輸入し、販売してはならない。

二  被告ゼオンメディカル株式会社(以下「被告ゼオンメディカル」という)は、被告製品を販売し、販売のために展示してはならない。

三  被告らは、被告製品を販売するについて、そのパンフレット、カタログ等の広告に別紙(四)記載の事項を表示してはならない。

四  被告らは、被告製品及び別紙(四)記載の事項が表示されたパンフレットを廃棄せよ。

五  被告らは原告に対し、金三〇〇〇万円及びこれに対する被告日本ゼオンについては平成七年二月一四日から、被告ゼオンメディカルについては同月一五日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

六  仮執行の宣言

第二  事案の概要

一  原告の請求

本件は、医療機械の販売・据付け・修理、医療資材の販売を業として昭和四九年九月六日設立された資本金二〇〇〇万円の株式会社である(争いがない)原告が、

<1>  原告が米国メドラッド社から同社製の造影剤自動注入装置(インジェクターともいう。以下「本件注入装置」という)とともに輸入し、日本国内において販売しているその付属品たる別紙(二)説明書(図面(1)ないし(3))記載の容器入りシリンジ(以下、合わせて「原告製品」という)は、原告による独占的販売により、遅くとも平成六年三月末日までには、その製品自体及び容器の形態が原告の商品であることを示す商品表示として取引者又は需要者の間において広く認識されるに至っているところ、被告日本ゼオンが同年四月以降米国クアー社から輸入し、被告ゼオンメディカルが日本国内において販売している(争いがない)被告製品の製品自体及び容器の形態(以下、単に「被告製品の形態」という)が原告製品の製品自体及び容器の形態(以下、単に「原告製品の形態」という)に類似し、原告製品との混同を生じさせるものであると主張して、不正競争防止法二条一項一号、三条に基づき、被告日本ゼオンに対し被告製品の輸入販売、被告ゼオンメディカルに対し被告製品の販売及び展示の各停止、並びに被告らに対し被告製品の廃棄を求めるとともに、同法四条に基づき、損害賠償として金三〇〇〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告日本ゼオンについては平成七年二月一四日、被告ゼオンメディカルについては同月一五日)から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求め、

<2>  被告らがそのパンフレット(甲四六、乙二)に別紙(四)のとおり被告製品が装着して使用できる「適用可能インジェクター」として原告の販売するメドラッド社製の本件注入装置を表示していること(以下「本件表示」という)は、不正競争防止法二条一項一〇号所定のいわゆる品質等誤認惹起表示の不正競争に該当すると主張して、同法三条に基づき、本件表示の使用差止め及び本件表示がされたパンフレットの廃棄を求めるものである。

なお、原告製品、被告製品の形態がそれぞれ別紙(二)説明書(図面(1)ないし(3))、別紙(一)説明書(図面(1)ないし(3))のとおりであることは基本的に当事者間に争いがないが、被告は、原告製品について、製品自体の後面のフランジ上にMEDRADの商標があり、キャップ1は容器の平面図上の印刷文字と同じ橙色であるのに、これらが表示されていないこと、被告製品について、製品(図面(1))自体の後面のフランジ上にCOEURの商標があり、キャップ1(図面(1)ないし(3))は容器の平面図上の印刷文字と同じブルーであるのに、これらが表示されていないことを指摘する。

また、クアー社は造影剤自動注入装置は製造しておらず、したがって被告日本ゼオンは造影剤自動注入装置は輸入していない(争いがない)。

二  争点

1(一)  原告製品の形態は、原告の商品であることを示す商品表示として周知性を取得しているか。

(二)  また、被告製品は原告製品の形態と類似し、被告製品を輸入、販売することは、原告製品との混同を生じさせるものであるか。

2  被告らが被告製品のパンフレットに本件表示をすることは、不正競争防止法二条一項一〇号所定のいわゆる品質等誤認惹起表示の不正競争に該当するか。

3  右争点1が肯定され、被告らが不正競争防止法二条一項一号、四条に基づく損害賠償義務を負う場合に、原告に対し賠償すべき損害の額。

第三  争点に対する当事者の主張

一  争点1((一)原告製品の形態は、原告の商品であることを示す商品表示として周知性を取得しているか。(二)また、被告製品は原告製品の形態と類似し、被告製品を輸入、販売することは、原告製品との混同を生じさせるものであるか)について

【原告の主張】

1 原告製品の形態は、原告による独占的販売、カタログ、広告等により、遅くとも平成六年三月末日までには、取扱店や病院等の間で原告が日本国内において独占的に販売するものであることを示す出所表示機能を取得し、原告の商品表示として広く認識されるに至っている。

(一) 原告製品(別紙(二)説明書・図面(1)ないし(3))の製品自体の形態は、ビール瓶をそのまま小さくしたような形状であり、下部にプランジャー(ピストン)があり、これから把手が出ている。原告製品の容器は、製品自体のそれぞれの大きさに適合したものであり、側面視において六個又は七個の凹凸がある。

(二) 原告は、米国メドラッド社製の本件注入装置及びそれに付属する原告製品を含むアクセサリー商品について、日本国内における一手販売権を有している。すなわち、原告は、昭和五四年一一月一日、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」という)及びその一〇〇%子会社であるセンチュリーメディカル株式会社(以下「センチュリーメディカル」という)との間で、伊藤忠商事において、薬事法二三条、一四条一項に基づく厚生大臣の輸入承認を受けてメドラッド社製の本件注入装置及びそれに付属する原告製品を含むアクセサリー商品を輸入し、その販売権はすべて原告に与える旨の総販売代理店契約を締結した(甲四七)。原告製品は、本件注入装置にのみ使用するものとして厚生大臣の承認を受けているものであって、他社製の造影剤自動注入装置に使用してはならないものである。

伊藤忠商事が取得した右輸入承認は、昭和六三年四月一一日付でセンチュリーメディカルが承継し、これを取得している(甲四八ないし五〇、五一の1・2、五二)。

(三) 原告は、本件注入装置及び原告製品の販売のため全国に四二七の取扱店を有しており、昭和五二年六月二三日から平成七年二月までの間に、北は網走厚生病院から南は沖縄県立宮古病院に至るまで全国一三一七か所の病院に対し、本件注入装置を合計一八五九台販売した。また、原告は、昭和六三年五月から平成六年一〇月までの間に、本件注入装置の付属品たる原告製品を合計一八一万四二一八個、金額にして三三億一七五六万五一八〇円相当を販売した(平成六年四月までの期間では、一六四万〇二三二個、三〇億〇二二九万五四三〇円相当)。

原告は、本件注入装置及び原告製品の販売のために、カタログ(甲一ないし一一、一〇六の1・2。それぞれ約二〇〇〇部)及び使用説明書(甲一〇五の1・2)を作成して取引先に交付し、また、業界雑誌等(それぞれ約一〇〇〇部)に常に広告を出してきた(甲一二ないし一五の各1・2、一六の1~4、一七ないし一九の各1・2、二〇の1~3、二一の1~4、二二ないし二四の各1・2、二五の1~3、二六の1・2、二七の1~3、二八の1・2、二九及び三〇の各1~3、三一の1・2、三二ないし三五の各1~3、三六の1・2、三七ないし四五の各1~3、九二ないし九四の各1~3、九五の1・2、九六ないし九八の各1~3、九九の1~4、一〇〇ないし一〇三の各1~3)。

原告製品は、前記のように本件注入装置とともに厚生大臣の輸入承認を受けたものであって、もっぱら原告が納入した本件注入装置の使用に供するために納入するものであり、したがって、本件注入装置を納入する会社と原告製品を納入する会社とが同じであり、しかも、病院は本件注入装置一台について何百本、何千本もの原告製品を購入するのであるから、取扱店及び病院の間において、本件注入装置に使用される原告製品の形態を見て原告が日本国内で独占的に販売するものであると認識され、その結果、原告製品の形態は、遅くとも平成六年三月末日までには、原告の商品であることを示す商品表示として広く認識されるに至ったものである。

(四) 被告らが一九八〇年以降の造影剤自動注入装置及びその付属品に関する日本市場の状況として主張する事実は概ね認める。但し、一九八四年(昭和五九年)にメディコスヒラタ社が販売していたメドラッドマークⅣ用一三〇mlシリンジは、メドラッド社が製造したものではなく、米国クック社がメドラッド社の承諾を得ないで製造して、メディコスヒラタ社に販売していたものである。また、GE社は、メドラッド社製の造影剤自動注入装置を原告から購入して日本国内において販売しているものである。

被告は右の事実をもって、日本市場において原告の販売する本件注入装置及びその付属品たる原告製品の占める地位はその一部分にすぎないと主張するが、原告が販売している本件注入装置は日本国内に存在する造影剤自動注入装置の七〇ないし八〇%を占め、これに使用するシリンジ(原告製品)はまさに一〇〇%原告が販売しているのである。

なお、被告ら主張のシーメンス旭メディティック社販売のシリンジ(検甲八)は、別紙(三)図面<1>のとおりであって造影剤自動注入装置ジムトラックC(甲六一)専用のシリンジであり、リーベルフラーシャイム社販売のシリンジは、同図面<3>(一〇〇ml用・検甲一〇)、<4>(一五〇ml用・検甲一一)のとおりであって造影剤自動注入装置アンギオマット(甲六二、六三)専用のシリンジであり、根本杏林堂社製造のシリンジ(検甲一二)は、同図面<5>のとおりであって造影剤自動注入装置M-八〇〇B(甲六四)、コントラスターCAG-20専用のシリンジであり、いずれも、その装置の機構がメドラッド社製の本件注入装置とは異なるから、本件注入装置には使用できないし、原告製品及び被告製品は右各装置には使用できないものである。メディコスヒラタ社販売のシリンジは、同図面<2>のとおりであり、その容器の形状は原告製品と異なる(ちなみに、これは侵害品である)。このように、他社によって製造、販売されている造影剤自動注入装置はメーカーによってその機構を異にし、それぞれのメーカーはそれぞれの装置に適合するシリンジを製造、販売している。原告の販売している原告製品は、メドラッド社製の本件注入装置に使用するものとしてメドラッド社において製造されたものであって、本件注入装置とともに原告が独占的販売権を有しているものである。

(五) 被告は、原告製品の形態は、その機能に由来する必然的形態である旨主張する。

しかし、シリンジは、その容器の中に造影剤を入れて造影剤自動注入装置に装着して使用するものであるから、円筒形の長いものであることが要求されるが、すべてのシリンジが同じ形態である必要はなく、右以外の点については相違があるべきものである。

すなわち、シリンジは、キヤップ、リティナー、シリンジバレル、プランジャー(ピストン)を具備していてその形態は機能に由来する必然的形態のようにみえるが、決してそうではない。シリンジは、造影剤自動注入装置により造影剤を送り込むという機能を有していなければならないが、同じ機能を発揮するためにすべてにわたり同じ形態にしなければならないというものではなく、右機能性のほかに趣味的又は審美的要素が加味されることがあるのはいうまでもなく、かかる部分が第二次的に当該商品の出所を表示するに至ることがあるのである。例えば、前記のシーメンス旭メディティック社販売のシリンジ(検甲八)、リーベルフラーシャイム社製一〇〇ml、一五〇mlシリンジ(検甲一〇、一一)、根本杏林堂社製のシリンジ(検甲一二)は、いずれも各社の造影剤自動注入装置に応じてシリンジの長さ、直径、プランジャーの形態において各社独自のものを採用していて、原告の販売する原告製品との互換性はないものである。

原告製品の容器についても、シリンジ自体の形態に応じて必然的に直方体のものであることを必要とするが、その側面視において前記(一)のとおり意匠的、趣味的形態を有しているのである。

2 被告製品の形態は、原告製品の形態と類似し、取扱店や病院等において原告製品との混同を生じさせている。

(一) 被告らが平成六年四月頃から輸入、販売している被告製品(別紙(一)説明書・図面(1)ないし(3))の製品自体の形態は、ビール瓶をそのまま小さくしたような形状であり、下部にプランジャーがあり、これから把手が出ている。被告製品の容器は、製品自体のそれぞれの大きさに適合したものであり、側面視において五個の凹凸がある。したがって、被告製品の形態は、原告製品の形態と類似するものである。

原告製品及び被告製品の各容器についていえば、両者は、微視的には若干異なるが、横に長いものであって、その長さもほとんど同じであり、また全く同じというわけではないが一定の幅を有する線状の窪みがあり、取引の実際において離隔的にみるとき、全体として長筒形のもので、数段の溝がある容器として取扱店や病院等において類似のものと認識され、混同を生ずるものであることは明らかである。

(二) 被告らは、原告製品及び被告製品は、密封容器入りであり、その容器には、それぞれ「MEDRAD」又は「COEUR」という商標や製造者名、住所が明記されているから被告製品をもって原告製品であると誤認混同することは全くない旨主張するが、右商標等は、説明文とともに英語で記載されたものであり、シリンジの購入者である病院の仕入係(資材係、補給係、調達係)がそのような細かいものまで見るはずがない。原告製品の容器は、被告製品の容器よりも先に使用しているものであって、その形態に識別表示性があり周知となっており、その容器によって取引されるのであるから、右のような商標等が表示されているからといって容器の形態の識別性がなくなるわけではない。

また、被告らは、シリンジは販売者の身元が購入者である病院に確認されている旨主張するが、右のとおりこの種の病院の資材を購入するのは医師ではなく医師資格を有しない仕入係であるから、その容器の外観と、被告らの説明、例えば「メドラッド社の注入装置に使用できますよ、原告製品と同じですよ」という説明によって購入するものであることが明らかであり、現にあちこちの病院において混同を来している。

【被告の主張】

1 原告製品の形態は、原告の商品であることを示す商品表示として広く認識されているということはない。

(一) 一九八〇年(昭和五五年)以降の造影剤自動注入装置及びその付属品に関する日本市場の状況についていえば、一九八〇年(昭和五五年)にはシーメンス旭メディティック社の販売する「ギドランド」、「コントラック」、「シザール」及び「ジムトラック」等の造影剤自動注入装置が存在し、一九八四年(昭和五九年)には、メディコスヒラタ社が、原告製品と同様のメドラッドマークⅣ用一三〇mlシリンジを米国クック社から購入して販売し、原告との併存状況を作り出し、一九九四年(平成六年)二月まで同商品を販売していた。したがって、約一〇年間にわたり付属品としてのシリンジの競合関係が続いていたのである。被告は、メディコスヒラタ社がクック社製シリンジの輸入販売を中止した一九九四年(平成六年)二月の約二か月後の同年四月頃から、クアー社製の被告製品の輸入販売を始めたのであるから、原告製品との競合関係は、クック社製からクアー社製への移行があったのみで、他は何も変わったことはないのである。したがって、競合するシリンジの存在のもとに原告製品が輸入、販売されてきたのであるから、被告製品が原告製品と併存して販売されることは、以前からの市場の競合関係を引き続き維持することであり、自然の経過であるということができる。

一九八六年(昭和六一年)からはセンチュリーメディカル社が輸入し原告が販売するメドラッドマーグⅤ、一九八七年(昭和六二年)からはユフ精器社が輸入して販売するリーベルフラーシャイム社製の造影剤自動注入装置アンギオマット、一九八八年(昭和六三年)からは根本杏林堂社製造販売のM-八〇〇B、一九九〇年(平成二年)からはフィリップスメディカルシステム社販売のアンギオマット六〇〇〇、センチュリーメディカル社が輸入し原告が販売するメドラッドマークⅤプラスが販売され、一九九四年(平成六年)からは被告製品が販売されている外、GE社がメドラッド社製の造影剤自動注入装置をOEM(相手先ブランドによる供給)で日本で販売するに至っている。

このように、日本市場において原告の販売する本件注入装置及びその付属品たる原告製品の占める地位はその一部分にすぎず、その状況下で本件注入装置及びその付属品(原告製品)の形態が原告の商品表示となっているということは、到底できない。

造影剤自動注入装置に使用するシリンジは、一度使用すると廃棄しなければならない使い捨て(ディスポーザブル)部品であり、常に補充しなければならない商品である。原告は、原告の販売している原告製品は、メドラッド社製の本件注入装置に使用するものとしてメドラッド社において製造されたものであって、本件注入装置とともに原告が独占的販売権を有しているものであると主張し、メドラッド社は装置とともにシリンジも製造、販売しているからシリンジもメドラッド社製品を使用すべきである旨主張するかのようであるが、法律的主張とはいえない。このような使い捨て部品が装置とは別に第三者によって製造、販売されている例は多数あり、本件においても、前記のとおりクック社製のメドラッドマークⅣ一三〇mlシリンジが約一〇年間にわたって輸入、販売されていたし、リーベルフラーシャイム社製の造影剤自動注入装置アンギオマット三〇〇〇に使用するシリンジをクアー社が米国で製造、販売し、日本でも被告らが製造、販売しているのである。

(二) 原告製品の形態の前に、本件注入装置(マークⅣ)の形態をカタログ(甲一)でみると、駆動装置、プレッシャーモニター、システムモニター、メカニカル安全停止機構、可動するインジェクターヘッド、シリンジヒーター等のどの範囲までが商品表示となるのかを理解、把握することは困難であり、それ自体商品表示性を欠くものである。したがって、その付属品としての原告製品の形態に商品表示性を認めることも困難のはずである(右カタログには、「注射筒」と表現され、円筒状の容器として注射筒が描かれている以外に、その特徴は何ら説明されていない)。

このように、その形態が原告の商品であることを示す商品表示であると原告の主張する原告製品は、本来独自の商品表示性のない本件注入装置の一部品にすぎず、その形態に商品表示性を見いだすことは全く不可能である。

(三) 原告製品の形態をみても、原告製品は、造影剤を収容するシリンジバレル、造影剤を注出する部分であるリテイナー、造影剤を押し出すためのプランジャー及びリテイナーを保護するキャップから構成されているところ、シリンジバレルが太い円筒形のものであるのは造影剤をそこに収容するためであり、量の変化に応じて太さ(長さ)が変わるのは必然的であり、リテイナーが次第に細い筒状になっているのは血管に造影剤を注入するため必然的なことであり、先端のキャップは、シリンジの先端を保護するためのものであり、プランジャーの下端にインジェクターに係合させるための把手があることも必然的形態である(但し、プランジャーは、シリンジバレル内にある内部構造であるから、もっぱら商品の外形を問題とする不正競争防止法二条一項一号の商品表示にはなりえない)。これらはいずれも造影剤自動注入装置用シリンジとして必要な機能に適合させた形状からなるもので、その形態はシンプルであり、市場に出回っているシリンジの基本的形状は機能的にほとんど同一であるから、これらのシリンジのうち原告製品の形態のみが商品の出所を表示する標識になることはありえないところである。

(四) 仮に原告製品の形態に商品表示性が認められるとしても、その周知性の証拠として原告が提出するカタログ等のうち、原告製品自体に関するものは甲第九号証のみであり、それ以外はすべて本件注入装置に関するものであって、そのカタログ等においてはシリンジたる原告製品にはカバーがかけられていてその形態を確認することはできないから、原告製品に関する唯一のカタログである右甲第九号証のみによって原告製品の形態が周知性を取得したとは到底いえない。

しかも、これらのカタログにおいては、「MEDRAD」あるいはメドラッド社製との表示がされているから、仮に原告製品の形態について商品表示としての周知性が認められることがあっても、それはメドラッド社の商品表示としてであり、原告の商品表示としてではないから、原告が本件のような請求をすることはできない。

原告は、メドラッド社製の本件注入装置シリーズ及びそれに付属する原告製品を含むアクセサリー商品について日本国内における一手販売権を有する旨主張するが、原告、伊藤忠商事及びセンチュリーメディカル間の総販売代理店契約書(甲四七)一条一項によれば、原告は、センチュリーメディカルが伊藤忠商事を通じて輸入するメドラッド社製品についての一手販売権を授与されているにすぎず、それ以外のルートによる輸入については何ら規定されていない。右総代理店契約は、メドラッド社製品の輸入後の関係当事者間の債権債務を規定したものにすぎず第三者に対して効力を有するものではないから、原告が日本国内においてメドラッド社製品の一手販売権を有しているということはできない。

また、原告製品の製造元であるメドラッド社が当事者でない契約に、原告の商品表示としての周知性の根拠を求めることは許されない。なぜなら、商品の販売による商品表示性の問題は、その表示を決定する製造者(メドラッド社)に帰属するのが当然だからである。原告製品について、原告の商品表示は存在しない。存在するとすれば、原告の商品表示の主体としての地位は、メドラッド社に対しても主張できることになり、不合理であることが明らかである。

更に、原告製品を用いるメドラッド社製の本件注入装置の日本における市場占有率は、五〇%にも満たず(甲九〇、九一参照)、その本件注入装置にクック社製のシリンジが過去約一〇年間にわたって使用されていたのであるから(乙一)、原告の扱った原告製品の市場占有率は、原告の考えるほど高いものではない。

2 原告製品と被告製品との間で、商品形態による出所の混同が生じる余地はない。

(一) 原告製品は、造影剤を血管に注入するための装置の一構成部分をなすものであり、人体に適用される前に汚染されてはならない商品であるため、製造時に滅菌処理を施して包装容器に密封し、密封容器に入れたまま取引されるものであるから、本件で問題とされるべきは、滅菌処理を施し容器に収容した包装容器自体の形状、そこに付された商標・製造者名及びそれらの表示の色彩等をもって商品表示とし、それらが商品出所の標識として周知となっているか否か、周知となっているとして被告製品のそれらが誤認混同のおそれがある商品表示に当たるか否かである。この見地から被告製品の容器を原告製品の容器と比較すると、その凹凸部分の数、形状において明確な相違がある上、原告製品においては橙色で統一した「MEDRAD」の商標、製造者名、住所が明記され、説明文が添えられているのに対し、被告製品においてはブルーで統一した「COEUR」の商標、製造者名、住所が明記され、説明文が添えられており、商標、製造者名が商品表示として存在するのであるから、被告製品をもって原告製品であると誤認混同することは全くないといわなければならない。

加えて、原告製品や被告製品のようなシリンジは、販売者の身元が購入者たる病院に確認されており、その性能も事前に確認された上病院からの注文によって供給されるものであるから、製品の形態による商品の出所の混同の余地はない。

(二) 原告製品と被告製品の製品自体の商品表示を比較しても、キャップの色彩が原告製品では橙色で統一されているのに対し、被告製品はブルーで統一されており、シリンジバレルの下部にあるフランジの表面(後面図)上に、原告製品では「MEDRAD」商標が表示されているのに対し、被告製品では「COEUR」商標(図面(1)のもの)又は「PAT.PENDING」(図面(2)及び(3)のもの)の表示がされているというように、キャップの色彩及び商標において明らかに相違するものである。

製品自体の形態についても、被告製品は、「吸子」の形状の相違及びシリンジ先端のテーパ部分に強度を持たすための三本の角が存在しないことにより、シリンジを取り扱う専門家にとって形態の相違は顕著であり、形態に由来する混同のおそれは全くない。

二  争点2(被告らが被告製品のパンフレットに本件表示をすることは、不正競争防止法二条一項一〇号所定のいわゆる品質等誤認惹起表示の不正競争に該当するか)について

【原告の主張】

被告製品は、造影剤自動注入装置に装着して使用するシリンジとして薬事法上の適法な輸入承認を受けたものではないから、被告製品のパンフレットに本件注入装置に使用することが可能である旨の本件表示をすることは、需要者をして被告製品の品質、内容等を誤認させるものであり、不正競争防止法二条一項一〇号所定の不正競争に該当する。

1(一) 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具を輸入しようとする者は、厚生大臣に申請してその承認を得なければならないところ(薬事法二三条、一四条一項)、センチュリーメディカルは、平成三年九月二〇日にメドラッドマークⅣ造影剤自動注入装置用に、六〇ml、六五ml、一〇〇ml、一三〇ml、一五〇ml、二〇〇mlの各シリンジ(原告製品)について、厚生省薬務局監修「医療用具の一般的名称と分類」(甲五三の1)の「B05110199その他の医薬品注入器(造影剤注入用ディスポーザブル注射筒)」(薬事法施行令別表第一74に該当する造影剤自動注入装置の付属品であるから、同じく74に該当する)として、医療用具輸入承認を受けている(「医療用具輸入承認事項一部変更承認書」〔甲五〇〕。なお、その申請書の「類別」欄に「器具器械48注射筒」としたのは誤記と考えられる。承認番号61B輸第897号)。

シリンジとは、造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒であり、単なる「測定」のための注射筒ではないところ、右「医療用具の一般的名称と分類」の「B0511 0199 その他の医薬品注入器」とは、原告製品の右承認書(甲五〇)の「一般的名称」欄に「その他の医薬品注入器(造影剤注入用ディスポーザブル注射筒)」、添付の「別紙2 性能、使用目的、効能又は効果」欄に「本注射筒はX線曝射による血管撮影時に使用する造影剤を患者体内に注入するためのものである…」、同じく「別紙1-1形状、構造及び寸法」欄に「本注射筒はメドラッド社製の造影剤自動注入装置マークⅣ…に装着させて造影剤を注入するための注射筒である。患者及び目的部位に応じて六種類の容量のものがある。」と記載されているとおり、目盛りのある一般の注射筒ではなく、造影剤注入用であり、まさに本件で問題となっているシリンジを指すものである。

(二) 一方、被告らは、薬事法に定める輸入承認を得るに当たり、原告製品のように「B0511 0199 その他の医薬品注入器(造影剤自動注入用ディスポーザブル注射筒)」としてではなく、「B0501 0501 一般用ディスポーザブル注射筒」(薬事法施行令別表第一48に該当する)としてその承認(承認番号・02B輸第0928号)を受けたものである(「医療用具輸入承認申請書」〔乙四の1・2〕、同承認書〔乙五〕)。右「B0501 0501 一般用ディスポーザブル注射筒」とは、目盛りのある、装置等の介添を必要としないで直ちに使用できる広く知られた汎用型の注射筒を意味するものである(検甲七)。右「輸入承認申請書」(乙四の1・2)には、「性能、使用目的、効能又は効果」欄に「本品は血管造影測定に用いる注射筒である」との記載があり、その「形状、構造及び寸法」欄にその記載があるが、原告製品のそれのように「造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒」であるとの記載がなく、右のように単に「測定」に用いるという記載しかない。

また、厚生省薬務局医療機器開発課監修「医療用具製造申請の手引第八版」(甲五六)には、「形状、構造及び寸法欄本欄は、形状、構造及び寸法を示すほか、申請品目の概要等を示すもので、具体的かつ詳細に記載することが必要であり、申請内容を明確にするために写真を添付するなどの工夫を行うこと。」(六九頁)と記載されているところ、右輸入承認申請書(乙四の1・2)添付の「別紙1-1形状、構造及び寸法」欄に「吸子プランジャーは、次の形状がある。」として、一〇〇ml用、一三〇ml用のものは図示されているが、一五〇ml用及び二〇〇ml用のものの図面は全くない。

(三) 被告は、血管の中に造影剤を注入するだけで直ちに血管の状態を確認、把握でき、狭窄率が計測できるかのように主張するが、実際は、高度なX線装置と同期して、造影剤を注入し、タイミングを計ってX線の曝射を行い写真を作成して診断するものであり、診断の部位により、造影剤注入の量、圧力、速度に制限が必要である。造影剤は濃度が高いため、造影剤自動注入装置は、圧力が一五〇psi(≒一〇・五kg/cm2)から一二〇〇psi(≒八四kg/cm2)の範囲で動作する機能を有するので、シリンジは、右圧力の範囲内の高い圧力に耐える安全性が必要とされる。しかるに、被告製品は、薬物を注入するための量を示す目盛りが一切付されていないため手技法での注入は困難であり、造影剤自動注入装置と組み合わせて使用されることとなるはずであるところ、被告らの前記輸入承認申請書には、組み合わせて使用すべき造影剤自動注入装置の装置名が記載されておらず、造影剤自動注入装置から供給される右範囲の圧力と被告製品三種類の各シリンジとの関連ある圧力許容範囲における安全性が何ら証明されていない(被告ら指摘のパンフレット〔乙二〕記載の一二〇〇psiは、シリンジの圧力表示ではなく、CAGセットハイプレッシャーラインの許容圧力の表示である)。

(四) 被告らの受けた輸入承認の対象が「造影剤自動注入装置用ディスポーザブル注射筒」でないことは、原告の申立てに基づき採用された厚生省薬務局長宛の調査嘱託に対する同局医療機器開発課長の平成八年三月八日付回答書(甲六〇)によっても明らかである。

すなわち、被告日本ゼオンが受けた輸入承認の対象には「血管用の造影剤注入装置に用いるシリンジ」が含まれるかとの調査嘱託第一項に対し、「対象となる造影剤注入装置の承認内容の如何による。」との回答であった。右回答は、「シリンジ」が承認の対象となっているかどうかは、その前提となる「造影剤注入装置の承認内容」によって決まるとの趣旨である。

しかして、センチュリーメディカルは、本件注入装置について、平成元年三月三〇日に「メドラッドマークⅣ造影剤自動注入装置」(甲四九)、平成三年一〇月二九日に「メドラッドマークⅤプラスシステム」(甲五一の1・2)、平成七年二月九日に「メドラッドマークⅤシステム」(甲五二)の各輸入承認を受けており、これに基づき、原告製品について、平成三年七月一六日に、一般的名称を「その他の医薬品注入器(造影剤注入用ディスポーザブル注射筒)」、販売名を「メドラッド造影剤注入用ディスポーザブル注射筒」とし、その形状、構造及び寸法を「本注射筒はメドラッド社製の造影剤自動注入装置マークⅣ(………)、マークⅤ(………)及びダイナミックCTインジェクター(………)及びマークⅤプラス(………)に装着させて造影剤を注入するための注射筒である。患者及び目的部位に応じて次の六種類の容量のものがある。」として承認申請をし、同年九月二〇日承認を受けたものである(甲五〇)。そして、右の本件注入装置の各承認申請書には「シリンジについては、純正部品である同社メドラッド社製の既承認ディスポーザブルシリンジ(………)の一三〇ml用または六五ml用を装着して使用するものとする。」(甲四九)、「本装置のインジェクターヘッドは六〇mlの容量のシリンジと一五〇mlの容量のシリンジを同時に装填可能としたもので、…。又、本装置に使用するシリンジはディスポーザブルであるため別途申請するものとする。」(甲五一の2)、「尚、本装置には、メドラッド造影剤注入用ディスポーザブルシリンジ(………)が、専用ディスポーザブルシリンジとして装着使用される。」(甲五二)と記載されており、右各承認申請書の記載がまさに、前記回答にいう「対象となる造影剤注入装置の承認内容」ということができ、これにはメドラッド社製の純正部品すなわち原告製品しか記載されていない。

これに対し、被告らの承認申請書(乙四の1・2)には、造影剤自動注入装置に関する記載は全くないから、造影剤自動注入装置に全く関わりのない「注射筒」の承認申請とその承認書であり、輸入承認の対象は「血管用の造影剤注入装置に用いるシリンジ」ではないといわなければならない。

被告らの指摘するメドラッド社のパンフレット(乙八)において、リーベルフラーシャイム社製の造影剤自動注入装置に使用できると記載しているシリンジは、特定のカタログナンバー、形状、容量のものであって、互換性は皆無であり、しかも、この種のシリンジは日本国内で輸入、販売されていない。

2 したがって、被告製品のパンフレットにおける本件表示は、被告らが「一般用ディスポーザブル注射筒」として輸入承認を受けており、「造影剤注入用ディスポーザブル注射筒」としては輸入承認を受けていないにもかかわらず、造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒として輸入承認を受けているかのような誤認を生じさせるものであり、不正競争防止法二条一項一〇号の品質等誤認惹起表示に該当する。

仮に、被告らが「造影剤注入装置用ディスポーザブル注射筒」としての承認を受けていたとしても、承認の対象とされたのは前記1(二)のとおり一〇〇ml用及び一三〇ml用のもののみであり、一五〇ml用及び二〇〇ml用のものを含まないから、一五〇ml用及び二〇〇ml用のものについてはやはり本件表示は品質等誤認惹起表示に該当する。

【被告らの主張】

本件表示は、正しく被告製品の説明をしたものであり、被告製品の品質、内容等を誤認させるものではない。

1(一) 厚生大臣が与える医療用具の輸入承認は、薬事法二三条で準用する同法一四条一項により「品目ごと」に与えることとされており、その承認申請は、薬事法施行規則一七条により様式第一〇による申請書を提出することによって行うものとされ、その「様式第一〇」の注意5において、類別欄には薬事法施行令別表第一による類別を記載することとされている。そして、本件で問題となっているシリンジは、同別表第一の器具器械の欄の「48 注射筒」に該当するものであり(原告製品についての平成三年七月一六日付承認申請書〔甲五〇〕においても類別を「器具器械48 注射筒」と記載している)、一般的名称は「ディスポーザブル注射筒」とするのが同施行規則の立場である。そして、厚生省薬務局監修「医療用具の一般的名称と分類」(乙九の1)の「薬事法施行令別表第一による医療用具の分類とその例示」欄には、「ゴシック体の見出しは薬事法施行令の別表第一による分類であり、その分類に該当する一般的名称を列挙したものである。」との説明が付された上、ゴシック体の見出し「48 注射筒」の項に、一般用ディスポーザブル注射筒、微量用ディスポーザブル注射筒、インシュリン用ディスポーザブル注射筒、一般用注射筒、微量用注射筒、インシュリン用注射筒、歯科用注射筒、歯科用ディスポーザブル注射筒が該当すると記載されているから、造影剤注入用ディスポーザブル注射筒の一般的名称は「一般用ディスポーザブル注射筒」ということになる。

(二) 被告製品についての輸入承認(承認番号・02B輸第0928号)にかかる承認申請書(乙四)には、「一般用ディスポーザブル注射筒」と記載しており、薬事法及び同法施行令上要求される「48 注射筒」との記載又は同法施行規則上要求される一般的名称である「ディスポーザブル注射筒」との記載よりも右「医療用具の一般的名称と分類」の記載に従ったより下位の(具体的な)概念で記載し、承認を受けたのであるから、何ら薬事法上の問題は生じない。

また、「血管造影用シリンジ」は、造影剤を血管中に注入するためのものであり、それによって血管の状態を確認、把握でき、狭窄率を計測し、それに対し医師が適切な処置をすることができるようにするなどのためのものであるところ、右承認申請書の任意的記載事項である(前記様式第一〇の注意6)「販売名」欄には「1 ゼオン血管造影用シリンジ」「2 ゼメックス血管造影用シリンジ」と記載しているのであるから、それがいかなる目的に使用されるものであるかは申請書上明らかである。原告は、被告製品の承認申請書には「造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒」であるとの記載がない旨主張するが、「血管造影用シリンジ」との表現により当然理解できるところである。原告は、右承認申請書中の「性能、使用目的、効能又は効果」欄の「本品は血管造影測定に用いる注射筒である」との記載を指摘し、単に「測定」に用いるという記載しかないと主張するが、ここでいう「測定」とは、造影後医師が血管の正確な状況を把握し、心室の機能(例えば狭窄率)を計測でき、適切な処置をとることを可能にすることを意味するのであり、より正確な表現とさえいうことができる。更に、前記様式第一〇の注意8には「性能、使用目的、効能又は効果欄及び操作方法又は使用方法欄には、主として医師、歯科医師、看護婦又は助産婦が使用するもので、これらの者にそれらの事項が周知されているものにあっては、その記載を要しないこと。」と記載されており、シリンジはまさにこの事例に該当するものである。すなわち、原告製品は、本件注入装置に装着されるべき付属品として使い捨ての消耗品であって、本件注入装置に他社製のシリンジも使用されることが当然に予定されており、この関係が米国でも日本でも長期にわたって続いているから、本来使用目的等を記載する必要すらなかったものである。

(三) 厚生大臣の承認を受けたものが何であるかは、承認申請書記載の一般的名称の文言上の表示によって定まるのではなく、承認申請が何を対象としてなされたものであるかを添付書類を含めた申請書全体によって定めるべきものである。被告製品にかかる申請書及び添付の別紙1-1・1-2、2、3、4-1・4-2(乙四の1・2)により、承認申請にかかる注射筒が使い捨て(ディスポーザブル)であること、血管造影用であること及びその形状、構造及び寸法がいかなるものであるかが明らかであり、安全性についても必要な範囲で実測、試験を行った上承認を得ているものである。原告は、被告製品の安全性を問題にするが、被告製品のパンフレット(乙二)には、許容圧力一二〇〇psiと明記しており、これは、原告の主張する安全性を具備するものである。

(四) 原告の申立てに基づく調査嘱託第二項に対する回答(甲六〇)によれば、「ゼオン血管造影用シリンジ」はその使用方法、使用態様について「特に制限はない」ものとして承認されているところである。また、調査嘱託第一項に対する回答が、「対象となる造影剤注入装置の承認内容如何による」となっているのは、嘱託資料中に注入装置の形状、構造、寸法等の資料がなかったため肯定・否定の回答ができなかったからである。しかし、被告製品は、その承認範囲の形状、構造、寸法のものとしての許容幅を持ち、メドラッド社製の本件注入装置に適合するから、その輸入販売は承認された注射筒の輸入販売として、何の制限もない。

メドラッド社自身も、その商品使用説明書(乙八)において、メドラッド社製の一〇〇ml用シリンジは、リーベルフラーシャイム社製のアンギオマットモデル三〇〇〇及びヴィアモンテホップスニ〇〇〇という造影剤自動注入装置に使用できること、一五〇ml用、二六〇ml用シリンジは、同社製のリーベルフラーシャイムモデル六〇〇〇及び六〇〇〇CTという造影剤自動注入装置に使用できることを記載しているのである。

2 原告が請求の趣旨第三項で使用の差止めを求める本件表示(別紙(四))のうち、品番、容量、梱包単位及び備考の各欄に記載された事項は、単なる事実の記載にすぎず、「適用可能インジェクター」の欄も現実に被告製品の使用が可能な本件注入装置を記載しているにすぎないから、いずれも品質等誤認惹起表示には当たらない。

三  争点3(右争点1が肯定され、被告らが不正競争防止法二条一項一号、四条に基づく損害賠償義務を負う場合に、原告に対し賠償すべき損害の額)について

【原告の主張】

被告らは、平成六年四月から同年一二月までの間に被告製品(単価一六五〇円)を合計三万八三五〇個販売し、三〇〇〇万円の利益を得た。右利益の額は、被告らの行為により原告の受けた損害の額と推定される。

【被告らの主張】

原告の主張は争う。

第四  争点に対する判断

一  争点1((一)原告製品の形態は、原告の商品であることを示す商品表示として周知性を取得しているか。(二)また、被告製品は原告製品の形態と類似し、被告製品を輸入、販売することは、原告製品との混同を生じさせるものであるか)について

1  原告は、原告製品は、本件注入装置とともに厚生大臣の輸入承認を受けたものであって、もっぱら原告が納入した本件注入装置の使用に供するために納入するものであり、したがって、本件注入装置を納入する会社と原告製品を納入する会社とが同じであり、しかも、病院は本件注入装置一台について何百本、何千本もの原告製品を購入するのであるから、取扱店及び病院の間において、本件注入装置に使用される原告製品の形態を見て原告が日本国内で独占的に販売するものであると認識され、その結果、原告製品の形態は、遅くとも平成六年三月末日までには、原告の商品であることを示す商品表示として広く認識されるに至ったものであると主張する。

商品の形態は、商品の機能を効率的に発揮させ、あるいは商品の形態上の美観を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的に商品の出所を表示することを目的とするものではない。しかしながら、商品の形態が他の業者の商品と識別できるだけの独自の特徴を有している場合において、その商品が特定の主体により一定期間独占的に販売されるとか、商品の形態について強力に宣伝広告がされる等の事情により、第二次的に特定の主体の販売する商品であるとの出所表示機能を取得し、この商品表示性を取得した商品の形態が周知性を獲得することがある。そこで、このような見地から、原告製品の製品自体の形態が商品表示性を取得しているか否か、取得しているとすればかかる商品表示性を取得した原告製品の形態が周知性を獲得しているか否かについて検討し、併せて原告製品の容器(パッケージ)が商品表示として周知性を獲得しているか否かについて検討する。

2(一)(1) 原告製品(別紙(二)説明書・図面(1)ないし(3)、検甲四ないし六)の形態は、次のとおりである。

<1> 製品は、キャップ1、リテイナー2、シリンジバレル3及びプランジャー(ピストン)4からなり、全体としてビール瓶のような形状をしている。

キャップ1は半透明の橙色で、リテイナー2にかぶせられているものであり、造影剤自動注入装置に取り付けて患者の体内に造影剤を注入する際は、取り外して使用する。

シリンジバレル3は、注射筒本体であり、太い円筒形の先端がテーパー部を介して細い円筒形になっていて、右細い円筒形の部分には三本(一三〇ml用)又は四本(一五〇ml用及び二〇〇ml用)の細い縦方向の突起が形成されている。

リテイナー2は、シリンジバレル3先端の前記細い円筒形の部分の先端に設けられた造影剤を外部に注出する部分であって、細い筒状である。

プランジャー4は、シリンジバレル3の底部に取り付けられた造影剤を外部に押し出すためのピストンであり、上部の円錐状部分に短い円筒状部分が連続した形状をなしており、その底部には把手が設けられている(一三〇ml用〔図面(1)〕の把手は、中心部にある小さな鍔付円筒形のものであり、一五〇ml用〔図面(2)〕、二〇〇ml用〔図面(3)〕の把手は、鉤状で、中心を挟んで両側に一個ずつ向かい合って設けられている)。

<2> 原告製品は、容器(パッケージ)に収納されたまま納入されるものであるところ、その容器の形状は別紙(二)説明書・図面(1)ないし(3)各表示のとおりであり、上面には長手方向に直角に茶色の英文字と日本語文字で説明文が横書きされ、その下部に同じく茶色でロゴマークとともに「MEDRAD」と大きく表示されている。

(2) 被告製品(別紙(一)説明書・図面(1)ないし(3)、検甲一ないし三)の製品自体の形態は、キャップ1の色が不透明の青色である点、シリンジバレル3のテーパー部を介した細い円筒形の部分に細い縦方向の突起が全く形成されていないか(一三〇ml用のもの)、一本しか形成されていない(一五〇ml用及び二〇〇ml用のもの)という点及び一五〇ml用及び二〇〇ml用のものにあっては、プランジャー4底部の把手の鉤状が形状を異にする点を除いて、原告製品とほぼ同じである。

被告製品も、容器(パッケージ)に収納されたまま納入されるものであるところ、その容器の形状は別紙(一)説明書・図面(1)ないし(3)各表示のとおりであり、上面には長手方向に青色の英文字で説明文が横書きされ、その上部左側に同じく青色でロゴマークとともに「COEUR」と大きく表示されている。

(3) 原告製品及び被告製品以外の他社製シリンジの製品自体の形態は、次の点を除き、原告製品とほぼ同じである(各容器の形態は、左記各図面右欄記載のとおりである)。

<1> シーメンス社製ジムトラック用シリンジ(別紙(三)図面<1>、検甲八)

キャップがなく、シリンジバレルのテーパー部を介した細い円筒形の部分に細い縦方向の突起が形成されておらず、プランジャーは、その円筒状部分が長く、その下部が底部に向けてすぼまっており、その底部に設けられた把手の形状も異なる。

<2> クック社製一三〇mlシリンジ(同図面<2>、検甲九)

キャップは無色透明であり、シリンジバレルのテーパー部を介した細い円筒形の部分にわずかに段があり、また、細い縦方向の突起が形成されていない。

<3> リーベルフラーシャイム社製一〇〇mlシリンジ(同図面<3>、検甲一〇)、同一五〇mlシリンジ(同図面<4>、検甲一一)

キャップは不透明の青色であり、シリンジバレルのテーパー部を介した細い円筒形の部分に細い縦方向の突起が形成されておらず、プランジャーは、上部の円錐状部分が小さく(一〇〇ml用)、円筒状部分が長く、その下部が底部に向けてすぼまっており、その周りにほぼ四角形の孔が複数穿たれているやや特異な形状であり、把手の形状もやや異なる。

<4> 根本杏林堂社製シリンジ(同図面<5>、検甲一二)

キャップが半透明の水色で、段のあるやや複雑な形状をしており、シリンジバレルのテーパー部を介した細い円筒形の部分に細い縦方向の突起が形成されておらず、プランジャーは、上部の円錐状部分が小さく、円筒状部分が長く、その下部の周りにほぼ楕円形ないし四角形の孔が複数穿たれているやや特異な形状であり、把手の形状も異なる。

(二) 証拠(各項掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(1) 原告は、輸入医療機器循環器系専門商社であり、主として造影剤自動注入装置、これに使用する消耗品たる付属部品、人体の組成の採集用針、患者の移動用マットを輸入し、日本国内において販売している(甲七一)。

造影剤自動注入装置(インジェクター)は、患者の一定部位の血管をX線装置で撮影して診断する際、所定量の造影剤を設定した任意の流速で自動的に注入する装置であり(甲五一の2)、シリンジは、造影剤自動注入装置(本件注入装置)の付属部品の一つである消耗品であって、そのインジェクターヘッドに装着して患者の体内(血管)に造影剤を注入するための一種の注射筒である(甲五〇)。

(2) 原告は、昭和五四年一一月一日付で、センチュリーメディカル及び伊藤忠商事との間で、センチュリーメディカルが伊藤忠商事を経由してメドラッド社から輸入する本件注入装置(MARKシリーズ)及びシリンジ(原告製品)を含むその付属部品について、伊藤忠商事において輸入に関わる一切の業務を行い、センチュリーメディカルにおいてその一手販売権を原告に授与する旨の総販売代理店契約を締結し(甲四七、七一)、それ以来、本件注入装置及び原告製品を含むその付属部品を日本国内において独占的に販売している。なお、平成二年四月一日には、センチュリーメディカルが直接メドラッド社から本件注入装置及びその付属部品を輸入し、原告にその一手販売権を授与する原告・センチュリーメディカル間の総販売代理店契約に変更された(甲六五)。

(3) センチュリーメディカルは、昭和六三年一月八日、伊藤忠商事が本件注入装置のうち「メドラッドMARKⅣ」及び「メドラッドマークⅤ」という機種並びに原告製品について薬事法二三条、一四条一項に基づき受けていた厚生大臣の輸入承認を同年四月一一日に承継する旨の届出をするとともに(甲四八)、「メドラッドマークⅣ」という機種(MARKⅣと同等品)について、昭和六三年一二月二〇日に厚生大臣に対し輸入承認を申請し、平成元年三月三〇日にその承認を受け(甲四九)、更に、メドラッドマークⅤプラスシステムという機種について、平成三年六月一八日に厚生大臣に対し輸入承認を申請し、同年一〇月二九日にその承認を受けた(甲五一の1・2)。

また、センチュリーメディカルは、原告製品について、平成三年七月一六日に厚生大臣に対し、装着する造影剤自動注入装置として「マークⅤプラス」を追加記載するとともに、六〇mlの容量の注射筒及びその寸法・重量を追加記載する旨の輸入承認事項一部変更の承認を申請し、同年九月二〇日にその承認を受けた(甲五〇)。

(4) 原告は、直営店として本社(大阪市)、東京営業所及び九〇%出資の九州シーマン販売株式会社(福岡市)を有するほか、本件注入装置及び原告製品を独占的に取り扱う取扱店が全国に四二七店ある。

そして、原告は、昭和五二年六月から平成七年二月までの間に、全国一三一七か所の病院に対し本件注入装置を合計一八五九台販売し、また、昭和六三年五月から平成六年一〇月までの間に、本件注入装置の付属品たる原告製品を合計一八一万四二一八個、金額にして三三億一七五六万五一八〇円相当(平成六年四月までの期間では、一六四万〇二三二個、三〇億〇二二九万五四三〇円相当)を販売した(甲七一、原告代表者。なお、昭和六三年四月以前の販売個数、金額については主張立証がない)。

(5) 原告は、本件注入装置及びその付属品たる原告製品を販売するに当たり、レントゲン装置又はCT装置を購入し又は購入しようとしている病院に営業担当社員を訪問させ、同病院の放射線医師、放射線技師等に本件注入装置及び原告製品の特徴、使用方法、安全性、サービス体制等について説明した上で、販売契約をしている。本件注入装置を購入した病院に据え付ける際には、装置一台毎に各部品の数量の確認と原告製品を装着しての動作の点検を実施した結果を記載した出荷リスト(甲七二)を交付しており、その後もアフターサービスを行っている。

その後、シリンジたる原告製品については、取扱店が病院から注文を受け、原告から出荷を受けて病院に納入している(甲七一、原告代表者)。

(6) 原告は、本件注入装置及び原告製品の販売のために、カタログ(甲一ないし一一、一〇六の1)及び使用説明書(甲一〇五の1)をそれぞれ約二〇〇〇部(甲一ないし一一については甲七五、七六、甲一〇六の1については同2、同一〇五の1については同2)作成して取引先に交付し、また、業界雑誌等(それぞれ約一〇〇〇部)に広告を出し(甲一二ないし一五の各1・2、一六の1~4、一七ないし一九の各1・2、二〇の1~3、二一の1~4、二二ないし二四の各1・2、二五の1~3、二六の1・2、二七の1~3、二八の1・2、二九及び三〇の各1~3、三一の1・2、三二ないし三五の各1~3、三六の1・2、九二ないし九四の各1・2、九五の1・2、九六ないし九八の各1・2、九九の1~3、一〇〇ないし一〇三の各1・2。部数については甲七七ないし八九、九二ないし九四の各3、九六ないし九八の各3、九九の4、一〇〇ないし一〇三の各3)、医用画像総合展等に出品してきた(甲三七ないし四五の各1~3)。

但し、右カタログ等においては、原告製品は、甲六、七、九のカタログを除いては、原告製品単独での写真や図面は掲載されておらず、プレッシャージャケットをかぶせた上で本件注入装置に装着した装置全体を撮影した写真が掲載されており、これにより原告製品の全体の形態を把握することは困難であり、特に底部のプランジャーの下部は本件注入装置により隠れていて形状を把握することはできない。

(7) 被告日本ゼオンは、平成六年四月から米国クアー社製の被告製品を輸入し(クアー社は造影剤自動注入装置を製造しておらず、したがって、造影剤自動注入装置は輸入していない)、被告ゼオンメディカルは被告日本ゼオンから被告製品を買い受け、これを日本国内において販売しているが(争いがない)、もともと被告製品はメドラッド社製の本件注入装置に使用することを目的としてクアー社が製造しているものであるため(弁論の全趣旨)、原告が本件注入装置を納入した各病院にサンプルを持参し、本件注入装置に使用でき、価格も原告製品より安いとして被告製品を売り込み、平成六年には全国八四か所の病院に一か月当たり四二〇〇個販売し、平成七年には全国一二〇か所の病院に合計五万六二二〇個を販売した(甲七一、七三、七四、原告代表者)。

3  右2(二)認定の事実によれば、原告製品は、造影剤自動注入装置(本件注入装置)の付属部品の一つである消耗品であって、そのインジェクターヘッドに装着して患者の体内(血管)に造影剤を注入するための一種の注射筒であるところ、原告は、昭和五四年一一月一日付で、センチュリーメディカル及び伊藤忠商事との間で、センチュリーメディカルが伊藤忠商事を経由してメドラッド社から輸入する本件注入装置(MARKシリーズ)及び原告製品を含むその付属部品について一手販売権を授与される旨の総販売代理店契約を締結し、これを日本国内において独占的に販売してきたものであり、直営店として本社(大阪市)、東京営業所及び九〇%出資の子会社(福岡市)のほか、全国四二七の取扱店を擁して、昭和五二年六月から平成七年二月までの間に全国一三一七か所の病院に対し本件注入装置を合計一八五九台販売し、昭和六三年五月から平成六年一〇月までの間に原告製品を合計一八一万四二一八個、金額にして三三億一七五六万五一八〇円相当(平成六年四月までの期間では一六四万〇二三二個、三〇億〇二二九万五四三〇円相当)を販売し、また、本件注入装置及び原告製品の販売のために、カタログ及び使用説明書をそれぞれ約二〇〇〇部作成して取引先に交付し、業界雑誌等(それぞれ約一〇〇〇部)に広告を出し(但し、右カタログ等においては、一部のカタログを除いて、原告製品単独での写真や図面は掲載されておらず、原告製品にプレッシャージャケットをかぶせた上で本件注入装置に取り付けた装置全体を撮影した写真が掲載されている)、医用画像総合展等に出品してきたのである。

そして、弁論の全趣旨によれば、原告の販売した本件注入装置は日本国内の病院で使用されている造影剤自動注入装置の少なくとも五〇%を占め、市場占有率は一位であると認められる(原告は、市場占有率は七〇ないし八〇%である旨主張し、原告代表者は九〇%である旨供述するが、原告提出の甲第九〇、第九一号証によってもかかる占有率を裏付けるに足りず、他にこれを認めるに足りる証拠はない)。

以上の事実によれば、メドラッド社製の本件注入装置自体については、そのメーカー名(メドラッド社)、商品名(MARK)は取引者及び需要者たる病院関係者に広く知られるに至っているということができ、本件注入装置の付属部品である原告製品についても、そのメーカー名(メドラッド社)は広く知られるに至っているということができる。

しかしながら、本件注入装置の付属部品である原告製品について、本来的な商品表示であるメーカー名のほかに、その製品自体の形態が第二次的に原告の商品であることを示す出所表示機能(商品表示性)を取得したというためには、前示のとおり、商品の形態が他の業者の商品と識別できるだけの独自の特徴を有しており、その商品が特定の主体により一定期間独占的に販売されるとか、商品の形態について強力に宣伝広告がされる等の事情の存することが必要であるところ、原告製品は、前記のとおり、造影剤自動注入装置(本件注入装置)に装着して患者の体内に造影剤を注入する一種の注射筒であり、その製品自体の形態は前記2(一)の(1)<1>認定のとおりであって、同(3)個<1>ないし<4>認定の、原告製品及び被告製品以外の他社製シリンジの製品自体の形態と比べても、リテイナー、シリンジバレル及びプランジャー(ピストン)からなり、全体としてビール瓶のような形状をしているという基本的形状において変わりがなく、せいぜい、キャップの有無、色彩等やシリンジバレルのテーパー部を介した細い円筒形の部分における細い縦方向の突起形成の有無等の形状及び把手を含むプランジャーの形状が異なる(但し、原告製品を本件注入装置に装着して使用する際は、プランジャーの下部は、本件注入装置により隠れていて形状を把握することはできない)ほかは、シリンジとして極めてありふれた形態をしているといえるのである。したがって、原告製品の形態は、他の業者の商品と識別できるだけの独自の特徴を有しているとはいえないというほかない。

原告は、右他社製シリンジ(クック社製シリンジを除く)は、それぞれ異なる造影剤自動注入装置専用のシリンジであり、いずれもその装着の機構がメドラッド社製の本件注入装置とは異なるから、本件注入装置には使用できないし、シリンジの長さ、直径、プランジャーの形態において各社独自のものを採用していて、原告の販売する原告製品との互換性はないものである旨主張するが、シリンジそのものの形態として独自の特徴を有するとまでいうことはできない。

原告製品の販売形態をみても、前記2(二)(5)認定のとおり、原告は、レントゲン装置又はCT装置を購入し又は購入しようとしている病院に営業担当社員を訪問させ、同病院の放射線医師、放射線技師等に本件注入装置及びその付属品たる原告製品の特徴、使用方法、安全性、サービス体制等について説明した上で販売契約をし、本件注入装置を購入した病院に据え付ける際には、装置一台毎に各部品の数量の確認と原告製品を装着しての動作の点検を実施した結果を記載した出荷リスト(甲七二)を交付しており、その後、シリンジたる原告製品については、取扱店が病院から注文を受け、原告から出荷を受けて病院に納入しているのであるから、原告製品についても、各病院はそれがメドラッド社製の商品であり原告が取り扱うものであることを認識した上で、取扱店に注文して納入を受けるものであり、しかも、原告製品は、前記のとおり、他社製シリンジと同様、容器(パッケージ)に収納されたまま納入されるものであって、製品自体の形態は看取しえず、その容器の上面下部に茶色でロゴマークとともに「MEDRAD」と大きく表示されているのであるから、取引者又は病院等の需要者が原告製品の商品主体を、その製品自体の形態によって認識するものとは到底いえない。

原告は、原告製品のようなシリンジを購入する病院の担当者は、医師ではない仕入係(資材係、補給係、調達係)であることを強調し、右商標等のような細かいものまで見るはずがない旨主張するが(【原告の主張】2(二))、医師ではない仕入係といえども、シリンジのような医療用具について、右のように容器の上面下部に大きく表示されているメーカー名を確認しないで購入するとは考え難い。

4  したがって、原告製品の製品自体の形態は、第二次的に原告の商品であることを示す出所表示機能(商品表示性)を取得しているとは認められない。

原告製品の容器の形態についても、他社製シリンジ(クック社製一三〇mlシリンジ、リーベルフラーシャイム社製一〇〇mlシリンジ、同一五〇mlシリンジ)の容器と同種のものであり、右のように容器の上面下部に大きく表示されているメーカー名と離れて商品表示として周知性を獲得しているとは到底認められない。

原告は、現にあちこちの病院で原告製品と被告製品との間で混同を来している旨主張し、甲第六八号証の1・2、第六七ないし第七〇号証(徳島県立中央病院、大阪府立病院、松山赤十字病院、関西医科大学付属病院、松下記念病院の各職員から原告宛の手紙又はファックス)を提出するが、右各号証によっても、右各病院の職員において、被告製品が原告の取り扱う原告製品とは異なる商品であることを認識した上で、被告製品が原告の販売したメドラッド社製の本件注入装置に適用可能として売り込まれたことから原告に対して純正部品かどうか問い合わせている事実は認められるものの、形態の類似性故に両商品を混同しているとの事実までは認められない。

そうすると、被告製品の輸入販売等が不正競争防止法二条一項一号所定の不正競争に該当すると主張して、同法三条、四条に基づき被告らに対し被告製品の輸入販売等の停止及び被告製品の廃棄並びに損害賠償を求める原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないというべきである。

二  争点2(被告らが被告製品のパンフレットに本件表示をすることは、不正競争防止法二条一項一〇号所定のいわゆる品質等誤認惹起表示の不正競争に該当するか)について

1  原告は、被告製品のパンフレット(甲四六、乙二)における本件注入装置に使用することが可能である旨の本件表示(別紙(四))は、被告らが「一般用ディスポーザブル注射筒」として輸入承認を受けており、「造影剤注入用ディスポーザブル注射筒」としては輸入承認を受けていないにもかかわらず、造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒として輸入承認を受けているかのような誤認を生じさせるものであり、不正競争防止法二条一項一〇号の品質等誤認惹起表示に該当する旨主張する。

医療用具を輸入しようとするものは、各品目ごとにその輸入につき厚生大臣の承認を受けなければならないところ(薬事法二三条、一四条一項)、右の被告製品のパンフレット(甲四六、乙二)には、被告らが被告製品について受けた輸入承認の承認番号である「02B輸第0928号」が記載された上、被告製品が本件注入装置に使用できる旨の本件表示がされているから、右輸入承認の対象がいかなるものであるかについて、検討する。

2(一)  医療用具の輸入についての厚生大臣の承認の申請は、薬事法施行規則所定の様式第一〇〔二〕による申請書を提出することによって行うものとされ(同規則二七条、一七条)、右様式第一〇〔二〕によれば、申請書には、輸入承認を受けようとする医療用具の類別、名称(一般的名称・販売名)、形状・構造及び寸法、原材料又は成分及び分量、性能・使用目的・効能又は効果、操作方法又は使用方法、製造方法、貯蔵方法及び有効期間、規格及び試験方法を記載するものとされており、その(注意)欄には、「5 類別欄には、令別表第一による類別を記載すること、6 販売名欄には、販売名のあるときのみ記載すること、8 性能、使用目的、効能又は効果欄及び操作方法又は使用方法欄には、主として医師、歯科医師、看護婦又は助産婦が使用するもので、これらの者にそれらの事項が周知されているものにあっては、その記載を要しないこと。」と定められている。そして、薬事法施行令別表第一には、器具器械の類別として八四の分類が掲げられている。

(二)  証拠(乙四の1・2、五)によれば、前記承認番号・02B輸第0928号にかかる輸入承認は、被告日本ゼオンが平成二年六月二二日付で厚生大臣に対し医療用具輸入承認申請をし、同年一〇月二〇日付でこれを得たものであることが認められる。

右輸入承認にかかる申請書(乙四の1)には、輸入承認を受ける対象の医療用具について、次のように記載されている。

類別 「器具機械48.注射筒」

名称

一般的名称 「一般用ディスポーザブル注射筒」

販売名 「1 ゼオン血管造影用シリンジ 2 ゼメックス血管造影用シリンジ」

性能、使用目的、効能又は効果

「本品は血管造影測定に用いる注射筒である。滅菌済であるので、そのまま直ちに使用できる。」

操作方法又は使用方法

「本品は一回限りの使い捨て製品(ディスポーザブル)であって再使用しないこと。」

また、その形状及び構造については、本体、保護キャップ、プランジャーからなる注射筒及びチューブの形状が図面をもって具体的に示されるとともに、寸法については、容量(一〇〇ml、一三〇ml、一五〇ml、二〇〇ml)毎に外径及び長さが示されている。

(三)  ところで、厚生省薬務局監修「医療用具の一般的名称と分類」昭和五八年一〇月一日第一版第一刷発行・昭和六三年二月二六日同第二刷発行(甲五三の1、乙九の1)には、「薬事法施行令別表第一による医療用具の分類とその例示」の欄(乙九の1)に、右別表第一による分類に該当する一般的名称が列挙してあり、

「48 注射筒」としては、「一般用ディスポーザブル注射筒、微量用ディスポーザブル注射筒、インシュリン用ディスポーザブル注射筒、一般用注射筒、微量用注射筒、インシュリン用注射筒、歯科用注射筒、歯科用ディスポーザブル注射筒が該当する。」、

「74 医薬品注入器」としては、「輸液ポンプ、自動点滴装置、医療用散粉器、輸液セット、翼付針、ちょう(貼)薬針、歯科用カートリッジ型注射器、造影剤注入装置が該当する。」、

「84 前各号に掲げる物の附属品で厚生省令で定めるもの」としては、「麻酔器用マスク、医用フィルム観察器、医用X線蛍光板、医用X線増感紙、エンジン用ベルト、エンジン用ベルトアーム、K4滑車が該当する。」とされている。

また、同書の「B05処置用機械器具」の項(甲五三の1)には、「分類番号0501 0501」として、「一般用ディスポーザブル注射筒 Disposable syringes for general use 〔器48〕 微量用ディスポーザブル 注射筒及びインシュリン用ディスポーザブル注射筒を除く。」と記載され、「分類番号0511 0199」として、「その他の医薬品注入器Misc ellaneous溶解液注入針、カテーテルシリンジ、浣腸器、滴注器、食塩水注入器及び尿道注入器等を含む。」と記載されている。

しかして、原告は、被告日本ゼオンの得た前記(二)の輸入承認にかかる申請書の類別欄に記載された「一般用ディスポーザブル注射筒」とは、目盛りのある、装置等の介添を必要としないで直ちに使用できる広く知られた汎用型の注射筒を意味するものであるから、原告製品のような造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための「造影剤注入用ディスポーザブル注射筒」(右分類番号B0511 0199の「その他の医薬品注入器(造影剤注入用ディスポーザブル注射筒)」に該当する)としては輸入承認を受けていない旨主張する。

しかしながら、右輸入承認がいかなる品目を対象として与えられたものであるかは、輸入承認申請書の類別欄に記載された医療用具の分類だけではなく、前記のような名称(一般的名称・販売名)、形状・構造及び寸法、原材料又は成分及び分量、性能・使用目的・効能又は効果、操作方法又は使用方法、製造方法、貯蔵方法及び有効期間、規格及び試験方法の記載及び添付図面等を含む申請書全体の記載を総合して判断されるべきものであることはいうまでもない。けだし、特定の医療用具が薬事法施行令別表第一に記載されたいかなる類別に当たるかは必ずしも一義的に明確に確定し難く、例えば、原告は、シリンジは「74 医薬品注入器」に該当する造影剤自動注入装置の付属品であるから同じく「74 医薬品注入器」に該当する旨主張するが、右「74 医薬品注入器」に該当するのは造影剤注入装置自体であって(前記のとおり、厚生省薬務局監修「医療用具の一般的名称と分類」の「薬事法施行令別表第一による医療用具の分類とその例示」の欄〔乙九の1〕には、「74 医薬品注入器」として造影剤注入装置が例示されている)、その付属品たるシリンジはこれに該当しないと解することもできるのであり、同施行令別表第一所定の類別の記載は、必ずしも輸入承認の対象となった医療用具を特定するのに決定的なものとはいい難いからである(原告も、シリンジたる原告製品を輸入しているセンチュリーメディカル自身、原告製品についての前記一2(二)(3)の平成三年七月一六日付輸入承認事項一部変更申請に際し、その申請書の類別欄に「器具器械 48注射筒」と記載しているところ〔甲五〇〕、右類別欄の記載は誤記と考えられるとし、申請書のその他の記載から右商品申請の対象はシリンジを指す旨主張する)。

(四)  そこで、前記(二)の承認番号02B輸第0928号にかかる輸入承認の申請書全体の記載を検討するに、「一般的名称」欄の「一般用ディスポーザブル注射筒」、「販売名」欄の「1 ゼオン血管造影用シリンジ 2 ゼメックス血管造影用シリンジ」、「性能、使用目的、効能又は効果」欄の「本品は血管造影測定に用いる注射筒である。滅菌済であるので、そのまま直ちに使用できる。」との各記載によれば、輸入承認の対象が患者の体内(血管)に造影剤を注入するための一種の注射筒であることが明らかであり、更に当該注射筒の形状及び構造については、本体、保護キャップ、プランジャーからなる注射筒及びチューブの形状が図面をもって具体的に示されるとともに、寸法については、容量(一〇〇ml、一三〇ml、一五〇ml、二〇〇ml)毎に外径及び長さが示されており、その形状及び構造等の記載によれば、原告の主張する、目盛りのある、装置等の介添えを必要としないで直ちに使用できる広く知られた汎用型の注射筒ではないことが明らかであり、右輸入承認申請当時既に原告等により販売されて病院において一般的に使用されていた造影剤自動注入装置に装着して患者の体内(血管)に造影剤を注入するのに用いる注射筒であることが明らかである(前記のとおり、薬事法施行規則所定の様式第一〇(二)の(注意)欄には、「8性能、使用目的、効能又は効果欄及び操作方法又は使用方法欄には、主として医師、歯科医師、看護婦又は助産婦が使用するもので、これらの者にそれらの事項が周知されているものにあっては、その記載を要しないこと。」と定められている)。

(五)  原告は、右輸入承認申請書には、原告製品のそれのように「造影剤自動注入装置に装着して造影剤を患者の体内に注入するための注射筒」であるとの記載がない旨主張する。確かに、「造影剤自動注入装置に装着して」との文言による明示的な記載はないが、前示のとおり、輸入承認がいかなる品目を対象として与えられたものであるかは、承認申請書全体の記載を総合して判断されるべきところ、右(四)のとおり「一般的名称」欄、「販売名」欄及び「性能、使用目的、効能又は効果」欄の記載によれば、輸入承認の対象が患者の体内(血管)に造影剤を注入するのに用いる一種の注射筒であることが明示されており、その形状及び構造等の記載によれば、「造影剤自動注入装置に装着して」患者の体内(血管)に造影剤を注入するのに用いる一種の注射筒であることが明らかなのであるから、輸入承認申請書に「造影剤自動注入装置に装着して」との文言による明示的な記載がないことは、前記認定を何ら左右しないというべきである。

また、原告は、厚生省薬務局医療機器開発課監修「医療用具製造申請の手引第八版」(甲五六)には、「形状、構造及び寸法欄 本欄は、形状、構造及び寸法を示すほか、申請品目の概要等を示すもので、具体的かつ詳細に記載することが必要であり、申請内容を明確にするために写真を添付するなどの工夫を行うこと。」(六九頁)と記載されているところ、右輸入承認申請書添付の「別紙1-1 形状、構造及び寸法」欄に「吸子プランジャーは、次の形状がある。」として、一〇〇ml用、一三〇ml用のものは図示されているが、一五〇ml用及び二〇〇ml用のものの図面は全くないから、仮に被告らが「造影剤自動注入装置用ディスポーザブル注射筒」としての承認を受けていたとしても、承認の対象とされたのは一〇〇ml用、一三〇ml用のもののみであり、一五〇ml用及び二〇〇ml用のものを含まない旨主張する。しかしながら、右輸入承認申請書の「形状、構造及び寸法」の欄に示されたプランジャーの図面は、確かに下部の形状が現実の被告製品の一五〇ml用及び二〇〇ml用のもののプランジャーの下部の形状とは異なるものの、同欄には、寸法について容量一五〇ml及び二〇〇mlのものもその外径及び長さが記載されているのであり、しかも、プランジヤーの形態自体は前記一2(一)(1)ないし(3)記載のように大同小異のものである上、右図面は略図というべきものであって、輸入承認を与えるか否かを決する上で重視された事項であるとも考えられないから、右プランジャーの図面における下部の形状の相違を理由に被告製品の一五〇ml用及び二〇〇ml用のものには右輸入承認の効力が及ばない(換言すれば、改めて別の輸入承認を受けなければならない)ということはできない。

更に、原告は、被告らの前記輸入承認申請書には組み合わせて使用すべき造影剤自動注入装置の装置名が記載されておらず、造影剤自動注入装置から供給される一五〇psiから一二〇〇psiの範囲の圧力と被告製品三種類の各シリンジとの関連ある圧力許容範囲における安全性が何ら証明されていない旨主張するが、右輸入承認の対象が造影剤自動注入装置に装着して患者の体内(血管)に造影剤を注入するために用いる注射筒であることは前示のとおりであり、その安全性についても審査されたはずである(乙四の2)から、これを装着すべき造影剤自動注入装置が特定されていないとしても、右輸入承認の対象が右のような注射筒であるとの認定は動かないし、その輸入承認の効力が被告製品に及ばないということにはならない。

(六)  なお、原告の申立てに基づく当裁判所の厚生省薬務局長に対する調査嘱託の結果は、その嘱託事項第一項「後記輸入承認(注・承認番号02B輸第0928号)の対象には、『血管用の造影剤注入装置に用いるシリンジ』が含まれるか。」との点については「対象となる造影剤注入装置の承認内容の如何による。」との回答であり、第二項「1 後記輸入承認の対象は、『そのまま直ちに使用でき』、『一回限りの使い捨て製品(ディスポーザブル)であって再使用しないこと』の外に、使用方法、使用態様に制限があるか。2 もし制限があるのであれば、その内容及び理由はいかなるものか。」との点については「1 特に制限はない。2 該当せず。」との回答であって、以上の認定判断に反するものではないと解される。この点に関する原告の主張は採用することができない。

3  以上のとおり、被告日本ゼオンの受けた前記承認番号・02B輸第0928号にかかる輸入承認は、造影剤自動注入装置に装着して患者の体内(血管)に造影剤を注入するのに用いる注射筒(シリンジ)を対象とするものであり、しかも、被告製品が本件注入装置に装着して使用することができることは弁論の全趣旨により明らかであるから、被告らが被告製品のパンフレット(甲四六、乙二)において、「承認番号 02B輸第0928号」を記載した上、「適用可能インジェクター」として本件注入装置(Medrad MarkⅣ・Ⅴ・Ⅴ+を表示していること(本件表示)は、被告製品の品質、内容等について何ら誤認を生じさせるものではなく、不正競争防止法二条一項一〇号所定の品質等誤認惹起表示の不正競争には該当しないというべきである。

なお、原告は、本件表示(別紙(四))のうち、「適用可能インジェクター」欄の記載以外の記載も右品質等誤認惹起表示に該当すると主張するかのようであるが、これらは品番、容量(ml)、備考(「Fill Tube付き」)、梱包単位の記載であって、何ら問題とすべき記載ではなく、右品質等誤認惹起表示に該当しないことが明らかである。

したがって、本件表示の使用差止め及び本件表示がされたパンフレットの廃棄を求める原告の請求も、理由がないというべきである。

第五  結論

よって、原告の被告らに対する請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 田中俊次 裁判官 小出啓子)

別紙(一)

説明書

(1) 図面(1)は、クアー社製一三〇mlシリンジである。

図面(2)は、同一五〇mlシリンジである。

図面(3)は、同二〇〇mlシリンジである。

(2) 各右側の立図面、平面図、後面図、側面図は、シリンジの容器の図面であり、その側面視において五個の凹凸形状となっている。

(3) 各左側の図面は、シリンジそのものの図面である。

1はキャップ、

2はリテイナー、

3はシリンジバレル、

4はプランジャー(ピストン)

である。

(4) シリンジは、シリンジバレル3の部分が太い円筒形のものであり、その上に細い筒状の部分がリテイナー2部分に続いており、太い円筒形と細い円筒形とは前者の二に対して一の長さを有していて、全体としてビール瓶を小さくしたような形状である。

(5) なお、プランジャー(ピストン)には筒の下端に把手が出ている。

図面(1)

<省略>

クアー社製 130mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面(2)

<省略>

クアー社製 150mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面(3)

<省略>

クアー社製 200mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

別紙(二)

説明書

(1) 図面(1)は、メドラッド社製一三〇mlシリンジである。

図面(2)は、同一五〇mlシリンジである。

図面(3)は、同二〇〇mlシリンジである。

(2) 各右側の立図面、平面図、後面図、側面図は、シリンジの容器の図面であり、その側面視において六又は七個の凹凸形状となっている。

(3) 各左側の図面は、シリンジそのものの図面である。

1はキャップ、

2はリテイナー、

3はシリンジバレル、

4はプランジャー(ピストン)

である。

(4) シリンジは、シリンジバレル3の部分が太い円筒形のものであり、その上に細い筒状の部分がリテイナー2部分に続いており、太い円筒形と細い円筒形とは前者の二に対して一の長さを有していて、全体としてビール瓶を小さくしたような形状である。

(5) なお、プランジャー(ピストン)には筒の下端に把手が出ている。

図面(1)

<省略>

メドラッド社製 130mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面(2)

<省略>

メドラッド社製 150mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面(3)

<省略>

メドラッド社製 200mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

別紙(三)

図面<1>は、シーメンス社製ジムトラック用シリンジである。

図面<2>は、クック社製一三〇mlシリンジである。

図面<3>は、リーベルフラーシャイム社製一〇〇mlシリンジである。

図面<4>は、リーベルフラーシャイム社製一五〇mlシリンジである。

図面<5>は、根本杏林堂社製シリンジである。

図面<1>

<省略>

シーメンス製 ジムトラック用シリンジ

縮尺:1/2 単位:mm、

パッケージ

ビニール袋

図面<2>

<省略>

クック社製 130mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面<3>

<省略>

リーベルフラーシャイム社製100mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面<4>

<省略>

リーベルフラーシャイム社製150mlシリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

図面<5>

<省略>

根本杏林堂社製シリンジ

縮尺:1/2 単位:mm

パッケージ

ビニール袋

別紙(四)

品番 容量(ml) 適用可能インジェクター 備考 梱包単位

AGS8530130 130 Medrad Mark Ⅳ,100 Series CT Fill Tube付き 10

AGS8530155 150 Medrad Mark Ⅴ+,Mark Ⅴ Fill Tube付き 10

AGS8530210 200 Medrad Mark Ⅴ,200/300 Series CT Fill Tube付き 10

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